債務整理
はじめは返せるつもりで借りたお金が、減るどころか増える一方に...
こんな状況に陥ってしまった場合、自力での返済は難しくなっています。
そこで経済的に立ち直るために『債務整理』の手続きを行います。
債務整理とは
債務整理とは、経済的に立ち直るために借金を減額したり支払いに猶予をもたせる手続きのことです。
債務整理の主な手続き方法として
『自己破産』『民事再生』『任意整理』『特定調停』の4つがあります。(破産についてのQ&A)
また、上記4つの他、払いすぎた利息を取り戻す『過払い金返還請求』も債務整理の方法の1つといえます。
自己破産
自己破産とは、法律上の破産手続きにしたがって債務を清算する方法で「破産宣告」と「免責」という2つの手続きから成りたっています。
破産は出来ても免責されない。ということもあるので「免責不許可事由」に当たらないか検討する必要があります。
不動産や動産を所有している場合は、原則的に全て売却して清算することになります。
破産に馴染む類型としては、返済が収入を大幅に上回り、所有する不動産等の売却等によっても返済は不可能である。といった場合になります。
民事再生
民事再生では、破産の原因となる事実が生じる恐れがある債務者が、再生計画の認可を受けて、再生計画に定められた方法によって分割支払をする方法です。
民事再生法は大企業の再建のためにも利用されていますが、ここで述べる再生は「小規模個人再生」と「給与取得者再生」の事になります。
この方法は、破産手続きと同様に裁判所の厳格な手続きを経ますが、手続き後の返済が予定されている点が大きく異なります。ただし、通常は全額の弁済ではなく、2割程度まで縮減された額の返済となり、大幅に支払い義務が緩和されることとなります。また、マイホームを持っている人が、マイホームを保持したまま債務整理手続きをすることができる特則もあります。
任意整理
任意整理は、自己破産などの他の債務整理方法とは異なり、裁判所を介さない訴外での和解です。
弁護士や司法書士などの資格者が本人に代わって債権者と交渉をするのが一般的です。資格者の受任通知により支払い督促が停止する等のメリットがあります。
任意整理では、債務額や今後の返済方法などについて交渉を重ね、以後は最終的な合意内容に基づいて返済を再開します。もちろん任意整理はあくまで私的な手続きであるため、自己破産などのように債権者に対して強制力を持ちません。そのため、債権者が納得しなければ和解が成立しないことも当然考えられます。
任意整理に馴染む類型としては、ある程度の収入があるが今のままの返済は続けて行く事が出来ない。ここで債権の圧縮や再計算による債務額の確定をして計画返済をしたい。といった場合になります。
特定調停
特定調停とは、裁判所において債権債務者相互の話し合いによる合意を基本とする調停手続きのことです。
調停委員や裁判官が仲介者となって話し合いを進行させてくれます。
特定調停では、債務額や今後の返済方法などについて交渉を重ね、以後は最終的な調停内容に基づいて返済を再開します。もちろん特定調停はあくまで私的な手続きであるため、債権者には必ず合意する義務はありません。そのため、債権者が納得しなければ和解が成立しないことも当然考えられます。
特定調停に馴染む類型としては、執行手続きを停止させる緊急性や必要性が高く、事前の債権者との交渉である程度合意の希望が持て債権者の数も少数であり、継続弁済可能な程度の収入もあるといった場合になります。
過払い金返還請求
消費者金融から借金をして長年にわたり支払いや借り増しを継続している場合は、利息制限法により再計算をすれば、払い過ぎの状態になっている場合があります。そのような事例においては、貸金業者に過払い金の返還請求を致します。これに応じない場合は、裁判所に不当利得返還請求を申し立て判決により、過払い金を取り戻すことが出来ます。
注意しなければならないのは、「自分は、長期にわたり消費者金融と付き合いがあるので必ず過払い金がある」といった思い込みです。返して直ぐに借りる等を頻繁に繰り返している場合や時効が成立している場合等、さまざまですので必ず過払い金が存在するとは限りません。
破産に関するQ&A
Q. 家屋などの財産はどうなるの?
A. 破産宣告を受けると、それまで所持していた不動産などのめぼしい財産は破産管財人の手によって処分されますが、生活に必要な家財道具などは一般に処分されません。(※めぼしい財産などの無い同時廃止の場合は、なおさらです)
Q. 破産宣告後に得た収入は?
A. 破産宣告後に破産者が得た収入は、原則として全て破産者が自由に使えます。
Q. 戸籍に載りますか?
A. 破産宣告を受けても、戸籍や住民票に記載されることはありません。本籍地の市町村役場の破産者名簿に記載されることになりますが、第三者がこの名簿を見ることはできません。又、免責決定がなされれば破産者名簿から抹消されます。
Q. 絶対に他人に知られることはないの?
A. 破産宣告は、官報に広告されるので公示されることになります。しかし、一般の人が官報を読むことはまずなく、裁判所から勤務先に破産宣告の通知をすることもありません。
したがって、破産宣告を受けたことが会社にわかることはありませんし、万一わかったとしても会社は、それを理由に破産者を解雇することはできません。
Q. 選挙権はどうなるの?
A. 選挙権、被選挙権など公民権が停止されることはありません。
Q. 免責後は、どうなるの?
A. 10年間は再び免責決定を受けることができなくなります。また、個人信用情報機関のいわゆるブラックリストに登録されるので、5年から7年くらいの間はクレジットカードを使うことも銀行などからお金を借りることもできなくなります。