成年後見
認知機能の低下した高齢者や知的障害のある方、精神に障害のある方など
自立した社会生活の為の判断能力が低下した方々の権利を擁護するために
法制された制度が成年後見制度です。当事務所では、同制度を最大限に
活用し、地域で安心して生活ができるよう支援をいたします。
成年後見の制度
成年後見制度とは、近年の著しい高齢化社会への対応と知的障害者・精神障害者等の福祉の観点から旧法の禁治産・準禁治産制度に代わって判断能力の不十分な方々(認知症高齢者・知的障害者・精神障害者)を保護するために新設された制度のことです。
この新しい制度は、判断能力の衰えた方々の福祉の充実の観点から従来の本人保護の理念に加え、自己決定の尊重・残存能力の活用・ノーマライゼーション等の新しい考え方に基づき、その人の置かれた状況に応じて、柔軟でかつ弾力的で、利用しやすい制度を目的としています。
制度の概要
成年後見制度は、旧民法を改正して法定された「法定後見」と、新たに法定された「任意後見」と言う二つの制度があります。さらに、第三者後見・複数後見・法人後見と言う制度が新たに導入されました。
これは、さまざまな事情を抱えた被後見人ご自身が、その事情や状況に合わせた選択が自由に出来るよう制定された制度であると言う事ができます。
成年後見制度の概要図
法定後見制度と任意後見制度
法定後見制度と任意後見制度は、本人の判断能力の状態によりそれぞれの制度をうまく使い分けて行くことが必要です。
法定後見制度とは
すでに判断能力の低下している方が利用する制度です。
本人の判断能力の度合いにより「補助・保佐・後見」という3段階を定め、補助人・保佐人・後見人の選任申し立てを法定された人(四親等内の親族等)によって家庭裁判所へ申し立てることにより、選任されます。
補助
判断能力の低下は見られるが大体のことは自分で出来る。(成年補助人は、同意見や代理権が必要となる)
保佐
判断能力の低下が著しく日用品の購入や日常の生活がやっと出来る。(成年保佐人は、同意見や代理権が必要となる)
後見
判断能力がない状態。(成年後見人は、本人の全ての権限を代理する)
後見人を必要とするケース
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認知の入った親名義の預貯金を解約したい。
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ヘルパーさんをお願いしたいので訪問介護契約を結びたい。
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訪問販売詐欺にあい、契約を解消してお金を取り戻したい。
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施設に入所したいので施設入所契約を締結したい。
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施設入所に際し、認知の入った親名義の不動産を売却したい。
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息子や娘が遠くに暮らしていて、認知の入った親の財産管理や療養監護が出来ない。
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家族間にトラブルはないが認知の入った親の為に今のうちに後見人を立てたい。
任意後見制度とは
本人の意思によって事前に契約を決めておく制度です。将来痴呆などが進み判断能力が失われた時に備えて財産管理の方法や将来の希望、生活のスタイルや死後の事務(葬儀やお墓のことなど)を細かく自分の納得いくように決めて、ご自身の信頼できる人と公正証書により任意後見契約を締結し、法務局に登記します。
将来判断能力が低下した時に、契約者との合意で家庭裁判所に「任意後見監督人選任」の申立てをします。そして、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から、契約書に書かれている内容の後見事務が発効することになります。
任意後見制度の趣旨は、将来の「もしも」の時に備えて、自分の意志によって自身の生き様を決めておくということであり、いわば、転ばぬ先の杖ということになります。
したがって、任意後見契約の受任者は、本人の「より人間らしく生きたい」という願いを支える重要な事務を受任することになり、本人の判断能力の低下する前からしっかりと連携を取りながら「もしも」の時に備えていきます。
任意後見制度は、本人の意志が最大限尊重されるように工夫された利用しやすい制度といえます。
当事務所では、本人の意思が直接的に反映される本制度を、ご本人と時間をかけて納得いく契約を結べるように心がけております。また、介護福祉事務所との連携による「法人後見」により、長いお付き合いにも対応できるような体制が整っております。
専門職後見人のこと
多くの場合は家族後見人でよいと思われますが、以下のように様々なケースがあり、慎重に後見人を選ぶ必要があります。事案によって、専門職後見人や法人後見人を頼ることも1つの選択肢です。
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多くの財産を持っていて財産管理・法律上の問題が複雑である。(弁護士・司法書士)
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家族間にトラブル要因があり将来不安である。(弁護士・司法書士)
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財産は少なく財産管理上の問題は多くは無いので療養看護に重点を置きたい。(社会福祉士・介護福祉士)
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知的障害や精神障害があり、年齢的にまだ若い。(社会福祉士・介護福祉士を中心とした法人後見)
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認知機能低下の初期段階であり、認知機能の低下進行に伴い異なる専門職の知見が必要と予見される。 (法律職を含む多くの専門職集団による法人後見)